産経WEST 2015.6.12

けいれん、失神「思い出が記憶から消える」16歳…子宮頸がんワクチン副作用 奈良県三郷町が独自に助成

http://www.sankei.com/west/news/150612/wst1506120091-n3.html

原因不明の症状を患う女子生徒と、背に手をあてる母親

 けいれんや腹痛など、深刻な副作用の報告が相次いでいる子宮頸(けい)がんワクチン。4年前に接種を受けた奈良県三郷町の高校2年の少女(16)は記憶障害に加え、知的障害の症状も現れ始め、現在は8歳ほどの知能しかない。国の救済が進まない中、少女の深刻な事態に町は12日、独自の助成を始めることを決めた。「壊れていく娘」を前に、母親(47)は「一刻も早く原因を究明し、娘を助けてほしい」と話す。

けいれんと失神繰り返す

最初のワクチン接種を受けたのは中学1年だった平成23年10月。学校から届いた案内を見た母親が町内の個人病院へ連れて行った。

接種直後、少女は腹痛や手足のしびれを訴えた。腰痛で歩行困難になり、母親は町や製薬会社に問い合わせたが、「副作用とは関係ない」との回答。1カ月休学し、その後も12月と翌年3月に接種を受けた。原因不明の症状を何度問い合わせても、「副作用ではない」と言われた。

だが、高校に進学した昨年6月。「頭が熱い」。少女は苦しみ、激しいけいれんと失神を繰り返して寝たきりの状態に。県内の病院を転々としたが、「精神的なもの」と言われた。これまでに12の病院で受けた検査でも異常は見つからず、最後に訪ねた病院で母親は医師を前に泣き崩れた。「娘の体は壊れているのに、何も異常が見つからない。訳が分からず、気がおかしくなりそうでした」

家族の顔さえ…

母子家庭で4人の子供を抱え、大阪で医療事務の仕事に就く母親は仕事を休めない。少女の症状は回復する兆しがなく、人の支えがなければ歩けない。光が「目に痛い」ため、家の中でもサングラスを着用している。「一番辛いのは、多くの思い出が娘の記憶から消えていくこと」と母親。中学時代の友達、担任の先生、家族でカラオケに行ったこと。近頃は、家族の顔さえ忘れつつあるという。

中学3年の冬、買い物に行った帰りの坂道で荷物をすべて持って背中を力強く押してくれた娘。「『大きく頼りがいのある子に成長したんだな』と実感した。今思うと、あれは夢のようなことだった」と話す母親は、娘が一日も早く回復することを願っている。

進まぬ原因究明と被害者救済

子宮頸がんは子宮の入り口にできるがん。日本では年間約2700人が死亡している。ワクチンにはがんを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)感染を防ぐ効果があるとして、平成22年度に国が助成を始めた。HPVは性交渉で感染するリスクが高く、10代の少女への予防が効果的とされ、25年4月から予防接種法に基づく「定期接種」に位置づけられた。

だが接種後に痛みを訴える報告が相次ぎ、厚生労働省は2カ月で積極推奨を中止。同省によると昨年3月末までに約338万人が接種を受けたが、2475件の副作用報告があり、うち617件が重篤という。

国はワクチンと症状の因果関係を調査中で、成分と症状の因果関係はまだ証明されていない。昨年6月には横浜市が全国で初めて、因果関係が不明でも医療費の自己負担分などを支給する救済措置を始めた。「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」(東京)によると、全国で11市区町と神奈川県がこうした独自支援を行っている。

今回助成を決めた奈良県三郷町は任意接種を町で受けた人に対し、医療費の自己負担分全額を支給。通院・入院した月は医療手当として3万4000円を支給する。

被害者連絡会の池田利恵(としえ)事務局長(56)は「声をあげられない被害者や、夜中に泣きながら電話をかけてくる母親もいる。国は原因究明と救済を急ぐべきだ」と指摘している。

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