議員NAVI:池田事務局長の記事掲載

【オピニオン】基礎自治体議員の責任を考える~子宮頸がんワクチン接種被害を通して~

http://www.dh-giin.com/article/20150525/3211/

【議会では、男性だから、女性だからという違いはない】

日本の国会は議院内閣制を基本とする政党政治。ある意味、団体競技ともいえ、意思決定の場面では、党議拘束によって議員個人の自由な意思表示が許されないことも多い。「チームワーク」を乱すと処分されることもある。つまり、中央政治のチームワークは目的化されがちである。
その点、地方議員は少し自由度が高い。会派もあり、「与党的」・「野党的」といった立場の違いはあるものの、腹をくくればひとりで首長と対決することもできる。二元代表制で、執行部の監視・チェックが地方議員の主要な任務と心得れば、そこに男性だから、女性だからという違いはない。女性にとって議会へのハードルが高いことは確かだが、議員になってしまえば本人次第である。
私は、2001年の補欠選挙で当選し議員となったが、その8か月後の本選で、9票差で敗れた。その4年後に再選し、4期目になる。現在は監査委員を拝命している。地盤・かばん・看板が全くない専業主婦の女性に政治の門戸はそう簡単に開かないと感じつつも、2013年に行われた補欠選挙では、自らの選対の一員である女性候補を擁立し、会派全体で応援し当選、翌2014年2月に施行された本選挙において2人とも当選を果たし、議会の最大会派ともなった。
議員になる前は3人の子育てに追われる専業主婦だった。幼稚園や学校で役員をやるうちに、行政の抱える問題は私たちの日常生活に直結することを自覚し、それが市議会議員に挑むきっかけのひとつともなった
議員になってからは、今まで以上に本をよく読むようになった。議会の仕組みやそれぞれの自治体の政策を学び、国の動向も調べる。主婦のときは新聞のテレビ欄から見ていたのだが、1面から見るようにもなっていた。1紙だけでなく複数の新聞にも目を通すようになり、一般質問で使えそうな記事や、街頭演説に使えそうな記事も拾い出し、スクラップするようになった。議員としての資質を磨くよう心がけ、市政図書室の優秀な職員からは情報の取り方などを学び、地域が抱える医療、健康、福祉、教育、法務等に関する情報提供を受けることができた。執行部を監視・チェックするために、これらのことが議員として必須であると考え、取り組んできた。

【自治体の事業で起こる被害は、議員として見逃せない】

私がこれまで取り組んできた子宮頸がんワクチン被害について説明したい。子宮頸がんワクチンの定期接種化が国会で議論されたとき、当時の厚生労働省が発表していた副反応状況報告には、接種後の重篤症例が数えきれないほど掲載され、その後の回復についても多くが「不明・未回復」となっていた。にもかかわらず、2013年3月28日、国会で定期接種が決まった。それどころか、男子にも接種を説く国会議員の発言すらあったのである。
もともとこの子宮頸がんワクチンの接種事業は、2010年度に厚労省が「ワクチン接種緊急促進事業」として推奨し、自治体が任意で実施するものだった。だが、助成制度によって無料となったため、中高生を中心に瞬く間に接種が進んだ。合計3回で4~5万円かかる接種が無料になったこと、「がんを予防できる唯一のワクチン」という推奨派の医師やマスコミの情報の渦もあり、当時、ほとんどの自治体が疑問なく接種を実施した。
だが、本来、任意接種は自治事務であり、その自治体の事業によって恐るべき数の被害が報告されているのは、市議会議員として見逃せない事実だった
ところで、2009年9月議会で、私は新型インフルエンザのパンデミックに関して「ワクチン接種を推進すべきではないか」と執行部を質(ただ)した。だが、そのわずか4か月後の2010年1月、「新型インフル輸入ワクチン1126億円無駄に?」という新聞記事を見つけた。
驚いた。半端ではない額であり、主婦感覚では信じ難い。調べると、この新型インフルエンザワクチンが危険で欧州ではほとんど使われていないということや、厚労省は危険性を察知して現地に職員まで派遣していたにもかかわらず、そのワクチンを買い込んだこと、しかも、その頃はすでに新型インフルエンザは終息しつつあり、接種希望者が少ないだろうと厚労省は予測していたのではないかということも分かった。
同時期にバトンタッチされるごとく、新型インフルエンザワクチンを発売していた製薬会社から導入されたのが子宮頸がんワクチンだった。この頃の国の議事録を見ると、この子宮頸がんワクチンは調べるほどに異例の措置がとられていたことが分かる。

(2009年8月31日厚労省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録)
「本剤は、2009年8月時点で、欧州など96か国で承認を取得しております。現時点において、本邦で既承認の類薬はなく、子宮頸癌予防対策の一つとしてHPV〔編集部注:発がん性ヒトパピローマウイルス〕ワクチンの臨床使用を求める医療上の要望及び社会的関心が高まっております。このような背景を踏まえ、厚生労働省の指導により、国内臨床試験の終了を待たずに平成19年9月26日に本剤の製造販売承認申請がなされております。」(医薬品医療機器総合機構答弁、下線・筆者)

 つまり、接種する子どもたちの安全・安心そっちのけで、国内臨床試験の終了を待たず、政治家や医療関係者等の推奨派が推進していたのだ。
それだけではない。費用対効果に言及した記述もある。

(2010年12月16日厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会 第3回ワクチン評価に関する小委員会資料)
「検診に関する留意点として、HPVワクチンを接種した集団において子宮頸がんが減少するという効果が期待されるものの、実際に達成されたという証拠は未だないことから、現時点では、罹患率・死亡率の減少効果が確認されている細胞診による子宮頸がん検診を適正な体制で行うべきである。」「医療経済的な評価については、13歳女子に接種したワクチンが生涯有効であると仮定したとき、わが国において支払者の視点(保険医療費のみを考慮)で費用効果分析を行った場合、〔中略〕費用対効果は高いと判断された。」(資料6-3、下線・筆者)

 こちらも、「効果がある」のではなく「効果が期待される」のであり、「達成された証拠は未だない」といっているのだ。しかも、当時日野市で配布された資料によれば、効果の有効期間は6.4年とされていた。
そもそも子宮頸がんはワクチンだけで予防できるわけではない。HPV感染は、もし感染したとしても9割が自然排出され、たとえ軽度異形成になっても9割は自然治癒するといわれている。HPV感染予防のワクチンの型は最初に発売されたのがグラクソ・スミスクライン(GSK)社の16・18型の2価、次がメルク・アンド・カンパニー(MSD)社の6・11・16・18型の4価、すでに米国では9価の感染予防ワクチンも承認されている。しかも日本では全てのHPVを予防するワクチンが治験の段階まで来ている。短期間でこれだけの商品が開発されている現状を鑑みれば、いかにサーバリックスやガーダシルの導入が拙速であったかが理解できる。

【政策に「待った」をかけることも議員の重要な役割】

私は公衆衛生の重要性を否定するものではない。ワクチンには副反応がつきものだということも理解している。しかし、それはワクチンの効果が副反応を発症するデメリットをはるかに上回る場合に限ると考える。MMRワクチンは1989年に2次感染の報告があり、迅速な処理をしていれば1993年に中止されるまでの被害は防ぐことができたはずだ。
私が被害者家族や近隣自治体の議員とスクラムを組んで「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」を発足させたのは、これらの理由からだ。

被害者の子どもたちは、大人を信じてワクチンを打ったがために、今も悲惨な状況にある。斧(おの)で頭を割られるような激痛に一日中苦しめられ、手足が自由に動かせず、計算能力を喪失し、文字も理解できなくなり、学校にも通えず、自らや家族のことも分からなくなる。医者には「気のせいだ」といわれて孤立を深めている。支える家族も仕事を辞めて看病に当たるなどしているが、医療費は高く、経済的困窮に瀕している。公的な被害者支援はまだほとんどないのが実情だ。
呼びかけに名乗り出て、連絡会の会員に名を連ねている人は現在362人、相談件数は1,500件に上る。だが、この数字は氷山の一角にすぎないと考えている。「世間体が悪い」、「なぜ打たせた」と家族に責められ、夜中に泣きながら電話してくる被害者の母親も多いからだ。連絡会はより身近な単位で相談と支援に当たるため全国に支部を拡大しているが、被害者の力になっているのが地方議員と弁護士たちだ
地方分権とは、住民に身近な自治体が決定権を持つことだといわれる。そうであるなら、地方議員は監視主体として政策形成過程に対する関与、決定に関する関与をより強めなければならない。推進されようとする政策に「待った」をかけることも議員の重要な役割であるということを、私自身も子宮頸がんワクチンを通じて学んだのである。

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