信濃毎日新聞 2014-6-7

信濃毎日新聞

子宮頸がんワクチン副作用 患者の1割に頻脈症候群
06月07日(土)
信州大医学部の池田修一教授(脳神経内科学)のグループは6日までに、子宮頸(けい)がんワクチンの副作用が出ている患者の1割に、「ポッツ(体位性頻脈症候群)」というほとんど知られていない病態がもたらす頻脈などの症状があることを確認したと明らかにした。ワクチン接種とポッツの因果関係は分かっていないが、池田教授は「ポッツ発生の割合が高すぎる」として、ワクチン成分が原因の可能性があると主張している。

子宮頸がんワクチンは四肢の痛みや頭痛、倦怠(けんたい)感などの副作用が出ることが報告され、厚生労働省は昨年6月、ワクチンの接種を積極的に呼び掛ける「勧奨」を中止。原因を検証していた厚労省専門部会は今年1月、副作用はワクチン接種時の痛みをきっかけにした緊張や不安が体の不調となって現れたもので、ワクチン成分が原因ではないとする意見をまとめた。

接種呼び掛けの再開は、開催日未定の次回会合以降に判断する方針だが、小児神経学に詳しい国立精神・神経医療研究センター小児神経科の佐々木征行部長は今回の研究結果を受け、「再開判断の前に、ワクチン接種とポッツの関連をもっと調べる必要があるのではないか」としている。

ポッツは、寝た状態から起き上がった時などに立ちくらみや目まいが起きる「起立性調節障害」の一つ。同障害は自律神経の働きが悪くなって起き、頭痛や全身の倦怠感などにもつながっていく。同障害の代表的なタイプでは起き上がった直後に血圧が大きく下がるのに対し、ポッツは起立中に血圧が下がらず、脈拍数が異常に増えていく。

池田教授は、厚労省が子宮頸がんワクチンの副作用を調査研究するためにつくった二つの研究班のうち、信大など6大学で構成する班の代表。副作用を訴えて信大を受診した全国の10代の患者44人を調べ、ワクチンと無関係と診断した4人を除く40人中4人に起立後の脈拍の異常な増加があり、血圧の低下はないことを確認。同時に4人とも自律神経の働きが悪くなっていることも分かり、ポッツの症状と確認した。

研究成果は、近く日本内科学会の英字誌「インターナル・メディシン」の電子版に掲載される。

ポッツの通常の発生割合や原因は十分に解明されていない。池田教授は、副作用が出た患者の「1割」に発生した今回の研究結果について「ポッツは医師の間でもほとんど知られていない病態。今回の発生割合は高いと判断できる」と説明。

さらに「ポッツ患者の9割がなんらかのウイルスに感染していたとの研究報告も米国にある」とした上で、ウイルス感染と同様の意味を持つワクチン接種で末梢(まっしょう)交感神経の異常が起こり、その後ポッツや複合性局所疼痛(とうつう)症候群などの自律神経障害が起きているとみられるとしている。

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